様々な「戦略デザイン活動」をおこなってきましたが、ヘンリー・ミンツバーグの著作:「戦略クラフティング(Crafting Strategy)」と「戦略プランニングと戦略思考は異なる(The Fall and Rise of Strategic Planning)」の中に、私たち「HI総合デザイナー」の諸活動を、うまく表現して頂いているキー・ワードやフレーズがあり、うれしくなりました。 以下に、少しだけひろってみました。
l 近所の有機農家では年1回収穫祭が行われ、生産者、販売店、消費者が一緒になって、トウモロコシやジャガイモの収穫に汗を流している。また、有機農家から毎週届けられる野菜には「畑のつぶやき」というメッセージカードが添えられ、その野菜がどうやって育ったかが消費者に伝わるようになっている。こういった体験を伴う情報、生産者と消費者をつなぐための情報は、同じ生産履歴でも、食の安全について責任を追及しようという今のRFIDの方向とは違うのではないか。また、農作物の一部は「町の駅」で販売されている。いわゆる「地産地消」であるが、「情報の地産地消」ができれば、もっと地域は豊かになるのではないか。
l 佐久は地域医療のメッカである。健康についての情報を伝えるために、町では年に1度「福祉と健康のつどい」、また佐久総合病院では、「病院祭」を開催している。地域ケアや介護、子育てにかかわる地域の住民やNPOも参加し、今年のテーマを何にするかを話し合う。プライマリヘルスケア(第一線医学)の大切さを、高齢者を含めた地域の人たちにどう伝えるのか。屋台を出したり、展示に工夫を凝らしたり、医師や看護師たちが踊ったりと、知恵を絞って準備する。こういったことを全部ホームページで表現できるだろうか。またネットに載せたとしても、住民に伝わるだろうか。情報は伝えるだけでなく、お互いが分かち合い、活動として実践されなければならない。
l 佐久穂町の住民には各家庭に災害用無線機が配布され、災害のときだけでなく、「山のほうで熊がでたから注意しましょう」とか「○○地区にいま高齢者向けのセールスが入っていますので注意しましょう」といった情報も、リアルタイムで聞こえてくる。そこには何か、忘れてしまっていた人々の生活に根ざした「今ここ情報」の伝え方といったものがある。